かつらけいのすけの 熱唱カラオケ塾 2003年8月号

8月になりました。

今年は夏の訪れが少々遅れてしまったようですが、いよいよ本格的な夏の到来です。「本格的な夏」といえば「海」というイメージですね。そして「夏〜海」と来れば!「若大将」!加山雄三ソングなんていかがでしょう。えっ?古いんじゃないかって?いえいえ、一番新しいと言ってもいいかも知れませんよ。

最近、リバイバルソングを多く耳にするようになりましたが、若大将サウンドのカバーも静かなブームです。今年芸能生活43年を迎えた、加山雄三さんですが、この7月に彼のヒット曲をカバーしたアルバム「HORIZON」が発売されました。それも、井上陽水、福山雅治、忌野清志郎、森山良子、氷川きよしe.t.c.豪華アーティストたちが参加したコンピレーションアルバムとなっています。

また、そのきっかけになったのが、昨年放送された、フジテレビ系「福山エンジニアリング」の、「福山が好きな歌をカバーして歌う視聴者人気投票」で、「お嫁においで」が6位になったことだと聞きます。その後(かな?)陽水、氷川、山下達郎らビッグアーチスト達が次々と若大将サウンドをカバーし、そして、その極めつけ(?)と言えるのが元モー娘のゴマキ(後藤真希)ではないでしょうか。なんと!「君といつまでも」をリバイバルヒットさせ、めちゃめちゃ若いおねいちゃん達にも思い切り若大将サウンドを浸透させてしまったのです。

そうです。福山〜ゴマキつながり(?)の加山雄三。「今一番新しい」と言っても過言ではないのです。おねいちゃん達は、とにかく新しい物が大好き。これは大大チャンスです。そして加山雄三といえば「君といつまでも」でキマリ!でしょう。ゴマキが歌っているからという理由じゃなく、といえば、何と言っても「君といつまでも」でキマリ!です。

「君といつまでも」加山雄三

「君といつまでも」は、1965年(昭和40年)の発売で、300万枚の大ヒットを飛ばした加山雄三の代表曲と言えるでしょう。40年近くが経っているので、このページの読者の皆さんも良く知っている曲とはいえ、リアルタイムに楽しんだ方もさすがに少ないかも知れません。これを機会に、痛快青春映画 「若大将シリーズ」の6作目、「エレキの若大将」の劇中歌であることを覚えておくとよいでしょう。

二人を〜夕やみがあ〜〜〜

ゆったりした美しいメロディー。ビブラートをかけることが出来ればあなたの歌声にますます磨きがかかるでしょう。ビブラートというのは、もうご存じの方も多いと思いますが、フレーズの語尾など音を長く伸ばす時などに、音をゆらせてかっこよくする技ですね。ビブラートをかけずに同じ音を長く伸ばすと、どうしても無機質に聞こえてしまいます。かといって、深くかけすぎると演歌みたいになっちゃったり、それ以上に不快感さえ感じることにもなりかねません。そのあたりは個人の好みやセンスによるのですが、若大将のビブラートはたいへん魅力的だと思うので、是非研究していただきたいと思います。フレーズの最後の長い音符を伸ばしながらゆっくりと声帯をふるわせてビブラートをかけ、デクレッシェンド(だんだん弱く)しながら、ビブラートの「ゆれ」は少しずつ深くしていく。そして自然に音が消えていく。といった、抜群のセンスです。「おとこまえのビブラート 」というか、「もてる男のビブラート」だなあと思います。マネして損はないでしょう。若大将、もてたんだろうなあ。

君の〜ひとみは〜

以前にも説明しましたが、音を正しい音程で「ぽん」と出すのではなく、少し低めの音程から突いていく「 ずり上がり」とか「しゃくり」というテクニックがあります。これは、演歌などでも「コブシ」とともに多用されるテクニックなのですが、 これにもセンスが必要であり、演歌っぽくならないコツがあります。それは、
上昇の(上がる)メロディーに対してだけ、「 ずり上がり」や「しゃくり」を使い、
下降の(下がる)メロディーに対しては使わない
ことです。
「きみの〜」「ひとみは〜」「ほしと〜」はどれも上昇の(上がる)メロディーなのでしゃくってOKですが、次の「かがやき〜」は下降の(下がる)メロディーなので、しゃくってはいけません。おとこまえの若大将はもちろんこのルール知っていて、「かがやき〜」はしゃくっていません。さすがです。

大空そめてゆく〜

歌のはじめのAメロがもう一度くり返されるのですが、ビブラートのテクニックとあわせて、「しゃくり」のコツをふまえて聞いてみるといいと思います。「おおぞら〜」は下降のメロディーなのでもちろんしゃくったりせず、わずかにビブラートをかけます。「そめてゆく〜」ば上昇のメロディなので少ししゃくってゆったりとしたビブラートをかけます。「ゆうひ〜」「いろあせても〜」「ふたりの〜」は、いずれも下降のメロディーなのでしゃくりません。「こころは〜」「かわらない〜」「いつまでも〜」は反対に上昇のメロディーなので、しゃくって歌います。若大将のように、音を伸ばしながら〜デクレッシェンド(だんだん弱く)しながら〜ビブラートの「ゆれ」を少しずつ深くしながら〜自然に音が消えていく〜。これを機会に「もてる男のビブラート」をマスターしてはいかがでしょう。

しあわせだなあ〜

おなじみの台詞ですね。これはやらないわけにはいきません。「君といつまでも」を歌って「しあわせだなあ〜」をやらないなんて、反則にも度が過ぎます。「アブドーラ・ザ・ブッチャーのフォーク攻撃」を見て見ぬふりしたレフェリー、ジョー・樋口でさえ見過ごしてはくれないでしょう。マイクを持っていない方の手の人差し指で、鼻の側面をこすりながら「しあわせだなあ〜」と少し恥ずかしそうにやるのが、基本的な流儀のようですが、そこはいろいろと個性を発揮してパフォーマンスしていただきたいところです。「その場盛り上げ系うけねらい」を装いながら、「ターゲットのおねいちゃんの(あなたに対する)温度測定」にも利用できるかと思います。お楽しみ下さい。

エレキの若大将

冒頭にも書きましたが、「君といつまでも」は、映画 「若大将シリーズ」の6作目「エレキの若大将」の劇中歌でもあります。この映画はぜひ一度レンタルビデオなどでご覧になることをお奨めします。蕎麦屋の出前のおかもちを持って現れた寺内タケシ(エレキの神様)が「エレキかあー、かっこいいなあ。俺も弾きたいなあ。」なんて言いながらすごいテクニックで弾きまくったり、「Go!Go!エレキ合戦」のシーンで、若大将が寺内タケシとブルージーンズの演奏で「夜空の星」(ご存じ、〜僕のゆくところへ、ついておいでよ〜)を歌うのですが、すごく盛り上がる会場の手拍子が「1拍3拍打ち」だったり、と時代を感じさせながら笑わせられます。歌あり、スポーツあり、恋ありの青春ドラマ。充分に笑えるし、現在も活躍中の豪華キャスト出演で、おねいちゃんとの話題にも事欠かないと思います。

さあ!パソカラホーダイで練習して、これを機会に「もてる男のビブラート」をマスターしましょう!