かつらけいのすけの 熱唱カラオケ塾 2004年3月号

今月のテーマは「卒業」

3月になりました。春はすぐそこまで来ていますが、まだまだ冷え込む日もあります。風邪などには充分に気を付けて下さいね。

突然ですが・・・

この「かつらけいのすけの熱唱カラオケ塾」。都合により、今月で終了することになりました。長らくご愛読ありがとうございました。皆さんとお別れするかのようでたいへん寂しく、そして残念ですが、3月と言えば卒業シーズン。卒業して、明日へと羽ばたくつもりで、またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。

で、今月のテーマは「卒業」。曲は「贈る言葉/海援隊」を選びました。

この曲はレンジ(音域)が狭く、低く、とても歌いやすい曲です。さらに難しいリズムもほとんどありません。最終回の「卒業」にふさわしい曲として、心を込めて歌っていただきたい名曲だと思います。それでは最終回!張り切って参りましょう!

3年B組金八先生

ご存じ「贈る言葉」は、1979年放映開始のTVドラマ「3年B組金八先生」の主題歌として使われ、大ヒットしました。今では誰もが知っている定番卒業ソングですね。この曲を知らない人はまずいないでしょう。昨年、5人組バンドの「FLOW」がハードロック風アレンジで歌ってリバイバルヒットさせていますし、この2月には、「金八先生」の第6回シリーズに出演したことをきっかけにブレークした上戸彩ちゃんがカバーしています。もう、懐かしの名曲ではなく、スタンダードの域に入っているかも知れません。が、しかーし、若いおねいちゃんの中には、「主演の武田鉄矢氏がフォークグループの『海援隊』で活躍されていたことを知らない」なんて人もいるかも知れません。少し説明しておきましょう。

海援隊と武田鉄矢さんについて

フォークグループ「海援隊」は武田鉄矢、千葉和臣、中牟田俊男(敬称略)の3人で1969年、福岡市で結成されました。グループ名の「海援隊」は想像通り、武田氏が、かの坂本龍馬に心酔しているところから名づけたとのことです。72年にデビュー。しばらくは売れなかったものの、73〜74年「語り」が大半の「母に捧げるバラード」が大ヒット。「これが歌?」なんて意見もあったようですが、「こらあ!鉄矢!なんばしょうとかねー」で始まる博多弁のお母さんの台詞(?)には妙な説得力があり、大流行しました。TV出演の際にはアドリブで歌詞を変えて笑いをとったりする場面もあり、そのあたりにも後の俳優としての成功を予感させました。同じ「語りミュージック?」のヒット曲としては「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/ダウンタウン・ブギウギ・バンド(宇崎竜童さんだよ)」が思い浮かびますが、こちらは75年ですから「母に捧げる〜」が先で、当時としても革命だったと考えられます。その後、武田氏は、77年に高倉健主演の映画「幸福の黄色いハンカチ」に映画初出演。とても初出演とは思えない演技で世間をあっと言わせました。そして79年からTVドラマ「3年B組金八先生」に出演。ご存じのとおり、主人公の金八先生を演じ、主題歌を歌い、ドラマ、曲共に大ヒット。「贈る言葉」は、現在でも卒業式などで親しまれる定番ソングとなりました。

暮れなずむ町の〜Aメロ

心を込めてていねいに歌って下さい。感情を込める方法、ポイントについて、少し説明します。以前にも何度か紹介しましたが、「しゃくり」あるいは「ずり上がり」などと呼ばれるのテクニックがあります。それは、ある音を正しい音程で、「ぽん」と出すのではなく、少し低めの音程から正しい音程まで突いていくことです。これは、演歌などでは「コブシ」とともに多用されるテクニックで、声を上手に震わせる「ビブラート」と共に、歌に表情をつける重要な方法です。が、演歌歌手のように「しゃくって」ばかりでは、やはり演歌っぽくなってしまいます(当然)。ただ、ずり上がればいいのではなく、これにもコツがあります。
で、ひとつのヒントなのですが・・・・・
上昇の(上がる)メロディーに対してだけ、「ずり上がり」や「しゃくり」を使い、
下降の(下がる)メロディーに対しては使わない。ことです.

   
                                     

 
                                     

矢印のついた青い文字のところで、うまく「しゃくり」のテクニックを使ってみましょう。どうですか?いい感じになるでしょ?くれぐれも演歌っぽくならないように、さらりとやってください。ねばっちゃダメですよ。

悲しみこらえて微笑むよりも〜Bメロ

Aメロは「しゃくり」をうまく使ってレガート(音をなめらかにつなげて)で歌って、このBメロはスタッカート(音を短く切って)気味に歌うとメリハリがつきます。〜悲しみ・こらえて・微笑む・よりも〜と区切って歌うのも「ぼくとつ」な感じが演出でき、いい感じに感情を込めることが出来るでしょう。そういう表現方法もあるっていう好例ですね。試してみてください。

さよならだけでは さびしすぎるから〜サビ

サビは、レガート(音をなめらかにつなげて)で歌ってください。特に難しいメロディーではありませんが、注意深く、流れるようにていねいに歌いましょう。最後のフレーズ「〜愛するあなたへ〜贈る言葉〜」は、特に心を込めて、おねいちゃんに囁くように歌いましょう。ついでにおねいちゃんに囁いてしまいますか?(何のついでなんだろう?)

実は恋の歌なんですね

「贈る言葉」といえば卒業式などでよく歌われる歌であり、またあまりに「金八先生」のイメージが強くて「卒業の歌だ」と、誰もが疑いませんでした。しかし、作詞した武田氏によると「この曲は失恋をした時に作った曲なんです」とのこと。それは2番と3番(ハーフ)を聴けば解ります。

贈る言葉 
作詞:武田鉄矢 作曲:千葉和臣

本文内の歌詞は削除しました。

そうなんです。この「愛するあなた」っていうのは彼女のことなんですね。そういう気持ちで、あらためて聞くと「キュン」となります。ホントいい歌ですね。ますます「とどかないおねいちゃん」に囁きたくなってしまったんじゃないですか?いい歌なので、心を込めて歌って上げて下さい。1番2番3番で、歌詞の文字数の違いにより、少しずつメロディーやリズムが違っているところがあります。そこは何度も聞いて確認しておいて下さいね。

この曲の構成・トゥー・ハーフ

この曲、1番と2番は同じサイズでくり返されていて、3番はBメロからしかありません。ポピュラー音楽では慣習的に、Aメロ・Bメロ・サビなどの楽節のかたまりを、日本語で「1番」と呼ぶのと同じように「ワン・コーラス」と呼ぶので、こういう構成は「トゥー・コーラス・ハーフ」または「トゥー・ハーフ」と呼ばれます。たいへん多く見られるスタンダードな構成です。 このような構成の場合、1st chorusは、しっかり「つかんで!」2nd chorusは、ちょっと「ひねって?」そして3rd chorus(half)は、3度目のデートで「落とす!」つもりで、気合いを入れて「がつん!と」歌うとよいでしょう。ホントです。

謝辞

さて、最終回の「かつらけいのすけの熱唱カラオケ塾」お楽しみいただけましたでしょうか?長らくのご愛読ありがとうございました。私は卒業していきますが、記事バックナンバーについては、しばらくこのまま読んでいただける予定です。またいつかどこかでお会いできることを楽しみにしています。では!