かつらけいのすけの 熱唱カラオケ塾 2003年12月号

早いもので

今年も12月になりました。この季節になると街中がクリスマス一色になります。クリスマスの飾りつけがされ、街路樹にも無数の電球が光ります。そして、さらにクリスマス気分を高めてくれるのが音楽です。商店街を歩いても地下街を歩いても、「ジングルベル」やら「赤鼻のとなかい」やらが聞こえてきます。Popsでは「ラスト・クリスマス/ワム」と「恋人達のクリスマス/マライアキャリー」。邦楽では「恋人がサンタクロース/松任谷由美」が、もうクドイほど流れます。そして忘れてはならないのが、「クリスマス・イブ/山下達郎」です。この曲がTVなどから聞こえてくると、「クリスマスだなあ」「年末だなあ」としみじみ感じるのではないでしょうか?今回は12月の曲の定番中の超定番!「クリスマス・イブ」に挑戦しましょう。

クリスマス・エキスプレス 初代は深津絵里さん

ご存知のように、この「クリスマス・イブ」はJR東海のCMで使用されて大ヒットしました。1988年のことです。15年も経つんですね。ヒロインは深津絵里さん。遠距離恋愛をしてるらしき彼女が新幹線から降りてくるはずの彼を待つも、姿がホームに見えず、ふくれっ面から涙をこぼします(こーれが可愛いかったんだ)。そこに柱の陰に隠れていた彼がムーンウオークで現れ(時代を感じます)、プレゼントを渡す。「バカ」とすねて泣き出す彼女。そして最後のキャッチコピーで人々はやっつけられてしまうのです。『帰ってくるあなたが最高のプレゼント-JR東海!』もう「胸キューン!」です。台詞はほとんど無く、バックに流れる「クリスマスイブ」が何ともロマンチックな雰囲気を醸し出していました。

二代目は牧瀬里穂さん

翌年、89年のヒロインは牧瀬里穂さんでした。初代の作品の答えとなるようなシュチュエーションでした。人ごみのコンコース、プレゼントを抱えて走り、彼氏の姿を探す彼女。改札から出てくる彼氏を一足先に見つけると、びっくりさせてやろうと柱に隠れて待ち伏せするのです。胸の高鳴りを押さえるかのように息を整えながらの満面の笑みを浮かべる彼女のラストシーンに『ジングルベルを鳴らすのは帰ってくるあなたです』のキャッチコピー。「胸キューン!」とまたまたやっつけられてしまいました。隠れている時の牧瀬里穂さん、かわいかったあ。この年から60秒のロングバージョンが製作されましたが、15秒〜30秒の短いバージョンは頻繁に流れるものの、60秒バージョンは23〜24日限定とかで、さらに話題を呼んだりもしました。

「山下達郎のクリスマス・イブ」とともに

JR東海は5年間に渡り「短い時間に織り込んだ男女のクリスマス・ストーリー」という同じコンセプトでシーズン限定のCMを流していました。毎年ヒロインは代わりましたが、「山下達郎のクリスマス・イブ」とともに『どうしてもあなたに会いたい夜があります』『あなたが会いたい人も、きっと、あなたに会いたい。』『会えなかった時間を今夜取り戻したいのです』などの練りに練ったキャッチコピーのすばらしさは変わらず、毎年話題となり、多くの人が「キュン」となりました。さあさあ、そんな「キュン」な気持ちを誰に届けましょう?思い切り「キュン」な達郎さんの「クリスマス・イブ」。行ってみましょう。

雨は夜更け過ぎに〜Aメロ

この曲は複雑なリズムがないので、そう言う意味では難しくはないのですが、やはりそこは達郎さん。レンジ(音域)が高い上にすごい歌唱力なので・・・達郎さんのように歌おうと思わない方が無難かも知れません。半音2つ〜4つほど下げて、真面目にしっかりと歌うことをお奨めします。「キュン」な気持ちを込めてね。嘉門達夫さんの替え歌で「きっと君は関西人・こてこての関西人・wowowo・さいでんなあー・ほーでんなあー」と歌う手もありますが、ケースバイケースでお使い下さい。

ポイントとしては、「音を伸ばし過ぎないこと」と、さりげない「こぶし」です。「ああーめーはよふけすうーぎーにっ」「ゆきへとかわるうーだーろっ」とフレーズごとの最後の音を伸ばし過ぎないように、短く切るように歌うとよいでしょう。
「Silent night, Holy night」のふたつの「night」は「なああーい」とコブシをきかせます。「レミレー」って感じです。演歌っぽくならないためには、のどだけでコブシをまわすのではなく、あごも動かすことです。「さいれん、なははーい」と大げさに、ある意味(?)和田アッコさん風に試してみるとよいでしょう。「あごを動かす」という意味がご理解いただけると思います。
「ひとりきりのクリスマス・イブ」の「クリスマス・イブ」は必ず英語で発音しましょう。余裕があれば「Christmas Eve,mmm」とフェイクをつけます。2回目の「Silent night, Holy night」も「Silent night,oh-oh--, Holy night」とフェイクしていますね。演歌っぽくならない注意しましょう。フェイクについてはバックナンバーの「君をさがしてた〜New Jersey United〜/CHEMISTRY」の回なども参考にして下さい。

心深く 秘めた想い〜Bメロ

ここでも「さりげないコブシ」がちりばめられた上にリズムがちょっと難しいかも知れません。いつもの書き方にコブシで顎を動かすというアッコさん風方式(?)も取り入れて説明しますね。

                           

はぁ
                           

ちょっと大げさに書きましたので、そのあたりはご賢察いただきたく思います。ってこのまま歌う人はいないでしょう。手拍子などしてリズムを感じながらゆっくりと歌います。矢印が付いて赤色になってる文字のところにビートがあり、そこに手拍子がくるようにします。バックナンバーなども参考にしてください。

蛇足ながら・・

JR東海のCMはこのクリスマスエクスプレス以前に日曜日の最後のひかりを「シンデレラ・エクスプレス」と名付けて強力なキャンペーンを大成功させていました。ときはバブル真っ最中の1987年。「つかの間の週末を過ごした遠距離恋愛のカップルが、東京駅のホームで別れを惜しむ。」という実際に遠距離恋愛の恋人たちがくりひろげている光景をそのままCMにしました。BGMとしてユーミンの「シンデレラ・エクスプレス」が流れ、そしてここでも『距離に試される度に2人は強くなる。』のキャッチコピーがまたまた「キュン!」でした。「シンデレラ現象」なる言葉も生まれ、そのころから、東京駅の新幹線ホームにはカップルが多くなったそうです。

こんな「キュン!」なCMが放送されなくなった(作られなくなった?)理由は容易に想像できます。今や携帯やメールで「今どこにいるの?」って聞けば、誰とどこで待ち合わせをしていても「何でもOK!」って感じです。前述の「深津絵里さんのCMの設定」などはピンと来ないかも知れませんね。「そんなモノが大衆化していない時代の俺達は、もっと切なくロマンチックだったんだぜい!」と若いおねいちゃんに自慢したい気持ちです。「だっせぇー」って言われちゃうのかなあ?

最後に・・この曲はAメロ・Bメロのみで、たいへんシンプルに構成されています。シンプルなものほど美しく、また難しいのは世の常。古風で楚々としたおねいちゃんを落とすがごとく、念入りに練習していただきたく想います。

さあ!パソカラホーダイで練習しましょう!「キュン」な気持ちを込めてね。